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11: Rumba #5

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 Ricardのコンガレッスンは基本的にスペイン語で行われた。勿論英語も混ざってはいるが、Ricardも私もカタコトの英語を混ぜながら 何とか言葉を伝えようとしていた。そんな状態でも音楽の話なので、Ricardがスペイン語で話していても何故だかなんとなく 伝わってくるのが不思議だったりする。わからない言語だと考えるのではなく、なんとなくわかった 気になってみるとなんとなくわかってきたりするもんだ。伝えようとすることと伝えられようとすることはつながっているということか。

rmb42.JPG Rumba, Son, Bolero, Salsaにおけるコンガとクラーベの関係性。Rumbaの様々なバリエーション。左手の役割。右手の役割。私が今まで独学でやってきたDjembeの観点からみると、その役割分担は ちょっとしたカルチャーショックでもあった。だがしかしその役割は柔軟なものでもあり、このフレーズは右手と左手の どちらがどの役割になるかという事は入れ替わることもある。手法は技術でもあり表現力でもあり、それをおろそかにすると表現の幅は狭まる。だがしかしその手法だけにフォーカスするのではなく、 その音楽がいかに表現されるかというところが重要なのだ。


 聴き取る耳と感じ取る感性。

 そして、

 「インプレシオン リブレ」

 「(自由に)」

 Ricardは言った。


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  レッスンの後、Ricardはカジェホン・デ・アメルというところに連れて行ってくれた。

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rmb44.JPG このカジェホン・デ・アメルというところは、 サルバドール・ゴンザレスというアーティストが路地の壁やらなんやらに絵を書き始め、 この路地一体を一つのアート作品に仕上げてしまった空間である。大きい道路に面した入り口にはゲートまで出来ていて、 既に道路としては成り立っていなくアートスペースとなっている。

rmb46.JPG 毎週日曜日の昼間にここでRumbaが行われているらしい。国立民族舞踊団のように広い中庭という訳ではなく、狭い路地の一角に屋根をつけてその中で Rumbaを演奏しているので、Rumbaに合わせたダンスがあるわけでない。ただ、踊りたい人は踊る。そういうもんだ。

 ここのRumbaはより宗教色が強く、サンテリーアの神様かなにかの人形が奉られていた。だが集まっているCubano,Cubanaは若者が多く悪ガキ達が集まっている様にも見え、 純粋な宗教行事の様な雰囲気はあまり感じられなかった。

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rmb47.JPG 会場は混みあっていてRumbaにあふれていた。入場有料(CUC 5 = 600円、もしかするとCubanoは CUP 5 = 25円位 で入場しているかもしれない)の国立民族舞踊団とは違い、入場無料のこのカジェホン・デ・アメルでのRumbaは、より庶民の文化に近い空間になっていた。

 会場内には先日の国立民族舞踊団の会場に来ていた欧米人観光客や出演していた人達や一緒に踊った人達も来場していた。私はすぐに見つけられ声をかけられた。Havanaでは東洋人は目立つというのもあり、私はすっかり顔を覚えられていた。先日出演していたCubanaに一緒に踊ろうと誘われたが、 ぶんえいとの待ち合わせをの時間に遅れそうになっていたので、そのまま会場を後にした。

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 ぶんえいと合流し昼食を食べながらカジェホン・デ・アメルの話をしたら ぶんえいは興味を示したので、再び行ってみる事にした。

 カジェホン・デ・アメルに到着すると先程とは何故だか何となく雰囲気が変わっていた。知ってるCubanoもCubanaも誰もいなくなっていて、会場外に数人いた警官もいなくなっていた。先程のRumbaのステージでは若者達がたむろしているだけで、建物の中からヒップホップが大音量で もれ聴こえてきていた。初対面のCubanoが話しかけてくる。「Rumbaはもう終わったぞ。次はヒップホップパーティーだ。ちょっとそこでモヒートでも飲まないか?」海外の街を歩いていて危険なところと危険でないところの見分けはある程度出来るつもりではある。その危険なところに踏み込みつつあることを実感していた。

 「いや、ちょっと友達を探してるだけだから。」

 「誰だ?その友達って。名前は?」

 「Ricard」

 もちろんRicardはもうそこにいないことは分かっていた。もしかするとここでは有名人かもしれないRicardの友人であることをほのめかし、ただの観光客ではないフリをしつつその場を離れることが 一番安全な策だと判断したのだ。後ろで大声で呼びかけるCubanoの声を無視しながら足早に我々は再び会場を後にした。

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 無事会場から離れることができた我々に対して 遠くから中指を立てて何かスペイン語で何か叫び続ける老人がいた。意味ははっきりと分からなかったが何となく分かる単語単語を繋げて推測してみると、 我々がその場で何か気に障ることをしたというよりも、資本主義の金持ちに対しての不平不満を ぶつける酔っ払いか何かの叫びだったのではなかろうか。我々はあまり観光客が通らない道を通っていたらしい。

 明日は5月1日だ。革命広場にてフィデル・カストロの演説が行われるのだ。


2006年6月18日初掲載

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