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17: Revolucion #6

 夜のマレコン通りには多くの人が集まっている。何があるというわけでもないのだが、ただ単に涼んでいたり、気の合う仲間で集まってはなんかしゃべってるだけだったりもする。当然楽器を持ってきて演奏している人もたくさんいる。観光客相手に演奏をしてお金をもらおうとしている人もいるが、ただ単に人前で演奏しコミュニケーションを取ることを楽しんでいる3人組と出会うことが出来た。

rvl51.JPG おそらく10代後半か20代前半の白人2人と黒人1人。ギター、ボンゴ、マラカスという編成で伝統的なソンの曲などを演奏していた。彼らは演奏をして歌い、身振り手振りで明るく話し、屈託なく笑っていた。

 彼らは世界中を旅をする内容の曲を演奏した。1コーラス毎に色々な国を表現していく。サビの部分にその国その国で有名な曲のメロディーを持ってきて 当てはめていくアレンジにより、ブラジル・メキシコ・ロシアと色々な国を旅して行く。そして彼らは日本にも辿り着いたが日本の有名な曲が思い当たらず、観ていた我々日本人の名前を並べて新たなメロディーを作っていた。

 こうして彼らの思いは世界へと飛んでいったのだが、Cubaの若者である彼らには実際に国外に飛んだ経験はない。まだ見ぬ異国への思いは自由という夢となってふくらみ彼ら胸に抱かれていた。

 ボンゴを叩いていた少年は我々の前で大きな身振りで叫ぶように夢を語り始めた。マレコン通りに広がる空を指差して、いつか自分も世界に向けて飛び立つのだと。

 「Tomorrow! .......」

 「After tomorrow!! .........」

 「In the future!!! ............」

 「Brrrrrooooooooooooommmmm ...........」

 空を仰ぎ両手を広げ彼を乗せた飛行機が飛ぶ音が響いた。その飛行機は空高く飛び出して行った。

 だがしかし大空を見据えていた彼の目線は次第に落ちて行き、 ついには防波堤のコンクリートの地面に辿り着いた。

 そして彼は肩を落としてつぶやいた。
 

 「............................................................. in Havana ....」


 世界へと旅立つはずだった彼の飛行機は、Cubanoとしての現実に不時着したのだった。



rvl52.JPG


2006年7月4日初掲載

タグ:Cuba Havana
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