23: Santiago De Cuba #6
公園の前で地図を見ていたら一人のCubanoに落ち着いた英語で声をかけられた。どうやら彼はちょっと前までHavanaの中華街で働いていたが、故郷であるSantiago De Cubaに最近帰って来たそうな。美味いレストランを教えてくれたり、Santiago vs Granmaの野球の試合はどこでいくらで観れるかという事を教えてくれたりした。そして、今晩ライブクラブに遊びに行くので一緒に行かないか?と誘われたが、話半分に聞いておいてその気になったら行ってみることに してその場は別れた。我々は市街地の方へ向かった。
Cubaの人達で地図を正確に読める人はほとんどいないのではないだろうか。恐ろしいことにタクシーの運転手でも大抵の場合地図を見せてもその場所へまっすぐに辿り付く事は出来ない事が多いのだ。何が言いたいのかというと、おそらく先程のCubanoが地図上で示した美味しいレストランの場所が間違っていたのだろう。我々は延々とそのレストランを捜しながら中心街をぐるぐると 歩き回る羽目になった。仕方なく銀行の前にいた警備員に道を尋ねると、警備員も場所を知らなかったらしくセスペデス広場でたむろってた若造に聞いてしまったので、案の定その若造に付きまとわれるようになってしまった。
レストランはまだ営業時間ではなかったらしく、入ることはできなかった。Cubaでは夕飯の時間が遅く、大体21時以降にならないと開店しないレストランはざらにある。ちなみにアルゼンチンは もっと遅くて23時とかになるらしい。この時点で19時。待てないなあ。
別のレストランで夕食を取り、先程公園で声をかけられたCubanoと会って ライブを観にいくことにした。自分達だけで決めたプランよりも外的要因に依存するプランの方が面白いのではないか?という選択だった。 もちろんどうなるかわからないのでリスクもあるが、どうなるにせよ刺激が多いのは外的要因からである事は間違いなく、我々は刺激を求めていた。少なくともこの瞬間は。
例のCubanoとその友人と会いCasa De La Musicaへ。Havanaにも2件ある Casa De La MusicaはSalsaやそこから派生した音楽などCubaの現代の音楽を演奏するライブハウスだ。Havanaでは何回か行ったが派手目な現代のCuba音楽が演奏され、その音楽で延々と踊り続ける店だ。 我々だけで考えたプランでは折角のSantiago De Cubaの夜なのでCasa De La TraditionaleというSonやTrovaが 育った店に行こうと思っていたのだが、これだとHavanaにいたときとあまり変わらないんじゃないかなあ。Casa De La Musicaの外には延々と入場を待つ人達が並んでいた。詳しい事情はわからなかったが入場するには待たなければならない様だった。Cubaの方々は待つことも待たされることも苦ではないという。でもいくらなんでも待たされ過ぎた。既に深夜1時を超えていた。他の店ならば既に開場していて開演もしているのだが、例のCubanoはCasa De La Musicaにこだわり続けた。もしかしたらSantiagoという田舎の若者にとってこの店で演奏される様なCubaの最新音楽に触れることは特別なことなのかもしれない。
我々は見切りをつけて先にホテルへの帰路につくことにした。我々がSantiagoに求めていたモノはそれじゃなかったのだ。そういう刺激ではなかったのだ。そして求めていたものに充分に出会えたとは言えないまま、 我々は翌朝の便でHavanaへ戻ることになっていた。
2006年8月27日初掲載
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