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12: Revolucion #1

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 2006年5月1日。メーデー。

 街中いたるところに「集結せよ。5月1日。革命広場。」という張り紙が張ってあった。毎年メーデーにHavana Vedadoにある革命広場にて、フィデル・カストロ・ルス議長の演説があるのだ。

rvl02.JPG 「今回の旅のヤマ場はメーデーにある」

 ぶんえいはこの旅が始まる前のミーティングでそう語っていた。数年前の同じ時期にCubaを旅したぶんえいSantiago De Cubaのホテルの テレビでこのメーデーの革命広場の様子を見たらしい。そのときは何万人ものCubano / Cubanaが皆赤い服をきて集まっていて広場中を真っ赤に染めて 更に延々と続く演説と延々と続くフィデル・コールが圧巻だったらしい。

rvl03.JPG ぶんえいは今回のメーデーに備えてWorld Baseball Classicの真っ赤なCuba Tシャツを私の分も併せて用意してきていた。だが会場の雰囲気が分からないので、とりあえずWBC Tシャツは鞄に忍ばせつつ普通の格好(とは言っても なるべく米国を意識させるモノは避けた)で革命広場に向かうことにした。日本人がCubaと書かれた赤い服を着ていて、受け入れられるか拒絶されるか非難されるか分からなかったからだ。

 演説の前にパレードやらなんやらがあるらしく、国民の集合時間は朝の5時とか6時とかと言われていた。 演説自体は8時から行われるという情報を得ることができたので、時差ボケと連日連夜のライブハウス巡りで 疲れていた我々は8時革命広場着を目指して行動していた。 とは言ってもVedadoにある我々の宿の周りでは前夜から夜通し音楽をかけて騒いでる人がいっぱいいたため、 疲れを癒す程の熟睡はできないままメーデーを迎えることとなった。これは政治的なイベントでもあり、お祭りでもあるのかもしれない。

rvl04.JPG 革命広場に向かうにつれ色々な方向から人が集まってくる。やはり赤い服を着ている人が多いが、全員が全員赤い服を着ているというわけではなさそうだ。この日の革命広場周りは一般車両は通行止めにしていたらしく、歩道も車道も一路革命広場を目指す人で あふれかえりだしていく。Havanaから離れているところに住んでいる人達はこのイベント用のシャトルバスで来場していたようだ。

 基本的にはレストランなどのお店も休みになり、国民は革命広場に集まる義務があったようだ。

 PAを通してパレードの音が鳴りはじめた。当然テレビでも中継をしていたらしく、民家からそのパレードの音が漏れ聴こえていた。諸事情で会場近くに住んでいても会場にいけない人もいるのかもしれない。

 革命広場まであと少しのところでPAからフィデル・コールが巻き起こった。しまった。フィデル登場に間に合わなかった。止まらぬ勢いのフィデル・コールが鳴り響く中、我々は革命広場へ足を急がせた。

rvl05.JPG フィデル・カストロの演説が始まった。革命広場は既に多くのCubano / Cubanaで埋め尽くされていた。多くの人が赤い服を着て、手には紙で出来たCubaの国旗や紙で出来たラッパを持っていた。皆熱狂的に演説を聞いているという訳ではなく、おしゃべりをしている輩や、とりあえず来ることは来てみたという雰囲気の輩や、お祭り気分の輩も結構いるように見受けられた。 なので「この資本主義の犬が金の力でふらふらうろついてへらへら笑いやがって」と 明らかな敵対心を我々に向ける人も現れなかった。もちろん真剣に演説を聞いている人もいっぱいいた。

 フィデル・カストロは熱く語っていた。エスパニョールを充分に解さない我々には 何を言っているのかわからなかったが、「テロリスト」「ラテンアメリカ」という単語は聞き取れた。我々は人と人の隙間を抜けてどんどん前へ真ん中へ向かって行った。そしてようやくフィデル・カストロを肉眼で確認できる位置まで辿り着くことが出来た。

 写真を撮ろうとカメラを構えたが、多くのCubanoに比べて背が低い私は爪先立ちで背伸びしてなんとか 見れる状態だったためなかなか撮影をする事が出来なかった。すると近くにいたCubanoが 「こっちからなら撮れるぞ」と場所を空けてくれた。ありがたい。


 そしてようやく私は歴史の教科書に載る程の人物の写真を撮ることに成功したのだった。

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 あ、どれがフィデル・カストロかわからない? じゃあもうちょっと拡大してみましょう。



rvl07.JPG うーん、望遠系のレンズは持っていってなかったんだなあ。 なのでなるべく望遠して撮った写真をトリミングしてみた。写真はこれでいっぱいいっぱいです。

 まあ、なにはともあれフィデル・カストロの演説シーンを撮影できた。

 後日に調べた資料によると、今回の演説は数十万人の前で4時間に渡る演説になり、 ブッシュ米国大統領の批判に終始したらしい。

 かつては20時間以上の演説を行ったこともあるフィデル・カストロは歴史的にみても 稀に見る程弁の立つ人物らしい。そしてこのメーデーの演説時間はフィデル・カストロの健在っぷりのバロメーターとして他国から見られているという側面もあるらしい。前回は30分程という非常に短い演説時間だった為、フィデル・カストロ体勢の 崩壊を予測する諸外国諜報機関がいたとかいないとか。

rvl09.JPG ソ連崩壊後の数少ない社会主義国のCubaの事を疎ましく思っている国も当然の事ながら 存在する。そしてCubaにおいてフィデル・カストロは今や唯一無比のワンマン状態になっている。一説によるとフィデル・カストロの暗殺を企てている某国の組織があり、彼らは直接手を下す のではなく、反カストロ派のCubanoを雇って計画を進めようとしているらしい。なので、この演説の最中にその様な動きがあったりしたら場合によっては自分の身も 危なくなるのかもしれない。勿論革命広場は警察も軍隊も多くの見張りが配置されていたし、予想以上に 緊迫した雰囲気ではなかったが、用心するに越したことはない。我々はあくまでもこの国の国民ではないのだ。

 延々と続くフィデル・カストロの演説をスペイン語が分からないながらも聞きながら、 我々は会場を後にすることにした。演説が終わり来場者達が帰るときまでこの場にいるとあまり良いことにはならないのでは ないかという危惧があったからだ。先日のCuba国立民族舞踊団の時と同じような過ちは起こさないに越したことはない。

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2006年6月21日初掲載

タグ:Havana Cuba
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